ビジュアル系バンドとは?

画像

 そもそも「ヴィジュアル系」という呼称は、見た目重視のバンドだからということで付けられた名称ではありません。これはX JAPANがバンドのコピーとして使っていた「PSYCHEDELIC VIOLENCE CRIME OF VISUAL SHOCK」に由来するもので、当時その言葉をはやらせようと思っていたある人物によってヴィジュアル系と言われ始めたのです。これはSHAZNAのブレイク期に一般にも定着するようになって、「新語・流行語」化し、一般ジャンル化してきました。また、この語はフランス等の国外においても「ビジュアルケイ」で通用する言葉となっています。さて、そんなビジュアル系がどのような要素を持つもので、どんなバンドがこれまでに、そして今現在も活躍しているのかについても詳しく見て行きましょう。

音楽的な特性としては

 基本的にアメリカのLAメタルのようなハードロック・ヘヴィメタルを基としたロック及びポップ・ロックがメインとなってはいます。しかし、日本のヴィジュアル系のものだとある意味ごった煮とも言えるような様々なジャンルの音楽が混ざり合った独特のものになっていることが多いです。メインとするファン層は女の人にはなっているので、へヴィメタルのある特有であり、かつ一般女の人には理解され難様式を取り払っていることが多いです。

 ジャンル自体が急速にメジャー化していったことにより、へヴィメタル特有の硬派な世界観や、楽曲や演奏の難解な表現はあまり受け入れられず、世俗的な歌謡曲化していったものも数多くありましたが、その最初期に関しては、やはり、他の音楽には無いような、規格製品ではないイメージを植え付けるのにはあまりにも十分過ぎるほどのイメージと威力をもったサウンドがありましたので、ヘアメタルに近似しているとはいえど、主流といってもいいほどまでに日本では成長しました。こうしたものはへヴィメタルやスラッシュメタルのファンから、「軟派で軽薄な女子供向け」のジャンルとして批判を受け、敬遠されてしまうことも多いのですが、黒夢やLUNA SEAといった男受けが良い音楽面で推しているバンドも増えてきているため、それらは少しずつ改善されている兆しがあったりします。きた。但し一時期のLUNA SEAや黒夢のように男臭さを音楽面で強調していたことで、男のファンも少なくはなかったというケースもあります。黎明期には、エクスタシー系のX JAPANやLUNA SEA、ZI:KILL等、ヘヴィメタルやハードロックを基礎にゴスやニューロマンティックに多い耽美で退廃的な歌詞を載せて歌っているバンドと、フリーウィル系レーベルを中心としたCOLOR、かまいたち等の反抗的で反社会的な歌詞を含むパンク系のバンドが、それぞれある程度の勢力を保っていました。

1990年代中後期に増えたバンドには黒夢やLUNA SEAからの影響を受けた者が多くて、その後、21世紀に入ってからはムード歌謡やミクスチャー・ロック等の音楽要素を含むスタイルが流行しました。 2000年代後半から2010年代にかけてはVersailles、NoGoD、摩天楼オペラ、DELUHI等元々メタルバンドに所属していたメンバーで構成されたバンドがヴィジュアル系シーンに参入し、世界観だけではなく自分達の高い演奏技術を楽曲に多く取り入れるバンドが現れました。以前は前述のようにへヴィメタルは前時代的で無骨、一般女の人には理解しがたいイメージが根付いていたため、差別化の意味もあり、徐々に多様化していったという部分もあるのです。

 マーティ・フリードマンによれば、日本のヴィジュアル系はX JAPANの功績によって、世俗的に広く認知され、曲調に関してもヘヴィメタルを基軸にしながらもその実際の所非常に広い音楽性の範囲を持っているとされています。本来、ひとりの人間が好む曲調はある程度の範囲に収まるはずであるがX JAPANは「Silent Jealousy」のような攻撃的・高速の曲から「Say Anything」のようなバラードまで発表していて、ファンもそれを受け入れています。それはX JAPANがその外見と共にサウンドもブランドとして確立した証拠であるとしています。

外見的な特性

 ヴィジュアル系バンドのファッションは時代に合わせて様変わりしています。1980年代中後期の黎明期から1990年代初頭までは、80年代から活躍しているアメリカのモトリー・クルーやW.A.S.P.等の「ヘア・メタル」や従来のロックファッションに影響を受けたような、腰ほどまでの長さの髪を金や赤等の色に染めて逆立てた髪型や、濃い化粧等が非常に多かったといいます。初めて赤や青に髪を染め総立てにしたのがCOLOR、髪を横に流して総立てにしたのがDEAD END、髪を真ん中で分けバンダナを巻き総立てにしたのがかまいたちでした。しかしこの80年代当時のファッションは、現在においてはすでに廃れたものとして認識されています。

 1990年代に入り、X JAPANのYOSHIKIがバンドにピアノを取り入れると同時に女の人的なドレスを纏った事から、中世的・女の人的な化粧や耽美的で倒錯的なイメージのものが浸透し始めます。同時期に男の人的でヴァイオレンスなライブを繰り広げていたCOLORがライヴ中の将棋倒しが要因でファンが死亡するという事故を起こし社会的批判に晒され、彼らのフォロワーが現れなかったことも、ヴィジュアル系が女の人的になっていくことを加速させたと言われています。

 その後、ポジティブパンクからの影響かゴシックよりの勢力も現れ、耽美的でダークなイメージのもの、その逆にポップなもの、色物的なもの等も増えてきました。しかしそれらの多くは他との差別化を図るためであったり、目立つためといったような目的のものでした。

 しかし、その後登場したMALICE MIZERによって、単純にファッションとしての役割ではなく、そのバンドの持つ世界観を表現するという価値観が生まれました。ヴィジュアル系が一般に流行した1990年代中後期にはさらに様式が派生し、そして、この頃になると非常に大規模な事務室に所属しているバンドでは、オーダーメイドの特注衣装を纏うことも珍しくはなくなってきていたのでした。

 ヴィジュアル系ブームが去った21世紀より後に関してはその多様性も薄れてしまい、その殆どは自己主張のためと言うよりは、シーンの中での流行を追うためであったり、単に目立つためにであるという状況に再び戻ってしまいます。

 例外的にcali≠gariやPsycho le Cemuがファッションで人気を博していましたが、後に続くようなバンドは出ていません。baroqueのようにポップでファッショナブルな衣装で活躍するバンドの台頭もあって、一時期そのスタイルが流行となりましたが、その後は見る者の恐怖感を煽るようなメイクのバンドが台頭してきました。

 またこのヴィジュアル系と呼ばれるジャンルはステージングが非常に重要視されるジャンルでもあって、メンバー全員がライヴで定位置に立ったまま動かないで演奏するバンドは僅かです。中には寸劇を組み込んだりMALICE MIZERのように楽器を持たずに踊る楽曲を持つバンドもありました。

外見の変化で

 これらの外見に関してですが、メジャー・デビューやブレイクをきっかけにそれ以後メイクが薄くなり、衣装もラフなものに変化していくバンドが少なくなく、それによってファンから「一般に媚びている」と顰蹙を買うことがしばしばありました。 これに対して「より大勢の人に偏見無く聴いてもらうため」と語るバンドもいるにはいたのですが、大概はただ単にやりたい音楽が変わったとか、面倒臭くなったか、より音楽に集中するために邪魔になったという動機で語られることが多かったといいます。しかし、ZIGZOは初期から化粧をしていなかったため硬派ヴィジュアル系と呼ばれていていました。

日本のヴィジュアル系バンドは

 日本のビジュアル系バンドはそんな奇抜さと独自性から若者を中心に評価を高めてきました。しかし、そんなフォロワーも徐々に大人になるうちに卒業してしまう人も多かったため、比較的長期に渡り続けることが難しかったといった要素もあったのかもしれません。また外見的な主張だけでなく、比較的性格的にも主張するメンバーが多かったこともあってか、あまり長く続いたヴィジュアル系バンドは少なく、どこかで必ず衝突をおこし、解散していたり、また再結成していたりといった事態も起こっています。それでは、そんな日本の有名なビジュアルバンドに関しても詳しく見て行きましょう。

Menu